マロン、マロニエ、マロネット?
先日、秋田市千秋公園の入り口に『焼き芋』売りの軽トラックが停まっていました。焼き芋片手に秋真っ盛りの公園散策なんて、なかなか粋!…かしら?
私がこの時期になると必ず思い出すのは、焼き栗のこと。街に焼き栗(マロン・ショ)屋が現れてコルネ(円錐形に巻いた紙袋)一杯に焼き栗を入れてもらい、家に持ち帰って白ワインと一緒に食べました。これは吐く息が白くなりレマン湖の湖面が鈍色に変わる頃、暗い冬がやってくる前の年中行事。天津甘栗とはちょっと違うけれど、日本を思い出す懐かしい味でした。
パリの並木といえばマロニエ(セイヨウトチノキ)ですが、ジュネーブ大学に続くバスティオン公園には大木のマロニエの並木がありました。ここは私の通学路。初夏にかけて咲く白い花に爽やかな季節が巡ってきたことを感じ、やがてトゲトゲの実が鼻先をかすめて落下するスリルを味わうと、秋がやって来たことを知ります。
私はマロニエの実を、ずーっと“マロネット”(マロンの小さいやつの意)だと思い込んでいました。そう、ついさっきまで…この拙文を物すまで。 ところが、マロニエの実は“Marron d'Inde”(インドの栗の意)。なんと、20年以上もの長きにわたり私はこの間違いを知りませんでした!
これは、本をただせば私の師匠が私に教えたこと。師匠は「音楽」の師であっても、“正しい”フランス語の師ではなかったのでしょうか? それとも彼一流のウィットに富んだ表現だったのでしょうか?
謎のことば、マロネット。この正体やいかに…
秋色 いろいろ (撮影;千葉市、秋田市)
香取智子 wrote|Date:06.10.31|
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塩辛とチョコレート
私が初めてフランス語を習ったのは、ジュネーブに留学することが決まってからでした。だいたい、ジュネーブがどんな言語を使うのかなんてまったく意にも介していなかったため、留学5ヶ月前にしてアルファベ(アルファベット)から習うという体たらく。
しかし、そこは老舗の語学学校。入門コースの後、視聴覚クレディフというクラスで朝から夕方までフランス語漬けの生活を送り、だらだらと中学から勉強させられた(!)英語よりずっときちんと理解できました。
私のクラスの先生は武道を学ぶパリジャンでした。フランス映画に出てくるようなちょっとフニャフニャした(失礼!)フランス人とは一線を画す、坊主頭で眼光鋭い方でした。
彼はある時、日本語禁止の授業中に日本語を使って、初めて日本に来た時の話をしてくださったことがありました。
まず彼が一番驚いたのは“台風”。この初体験にはかなり強烈な印象をお持ちのようでした。窓に打ち付ける風雨に飼い猫も興奮状態だったそうな。
それから、ある日彼はチョコレートを買い求めようと、どこかのお店に行きました。ほとんど日本語が分からないので、「“Chocolat”(ショコラ と発音します)をください」と店員さんに頼んだそうです。店員さんは勿論、“ショコラ”が何であるか分かりません。とても親切な人だったらしく、ショコラ?…しょこら…しおから〔塩辛〕!! と瓶詰めの塩辛を持ってきたそうです。
彼にとってChocolatはChocolat。それ以外の言葉を知らないので、仕方なくその不思議な瓶詰めを買って家に帰りました。そして、恐る恐る蓋を開けてそっと口に入れたそうです。日本人だって誰もが好むわけではない塩辛ですが、彼はいっぺんで好きになったそうです。さすがは武道の心得を持つ方!!
今ごろ先生はパリの空の下、どこかで道場でも開かれているのでしょうか?
甘いシオカラ?
香取智子 wrote|Date:06.10.30|
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チキンサラダとローストビーフ
ロンドンから小一時間、St.Albansのとある女性がお二人で住まわれるお宅に一週間ほどホームステイ
させていただいたことがあります。ご主人をなくされた後、仲の良いお友達と同居されたのだそうです。お二人とも仕事を持っていたので、朝食の後片付けと飼い猫のブーツ(足がブーツを履いているように白くなっているので付いた名前です)に餌をやるのが私の仕事。
ペット用の扉の付いた裏口からイギリス式ガーデニングの庭を自由に出入りする気ままなブーツに餌をやりながら、私はなぜか日本語で話しかけていました。ちなみに、バイトでスウェーデン人の赤ちゃんのベビーシッターをした時も、私は日本語で話しかけました! 閑話休題
St.Albansへはコンクールを受けに来ていましたので、あちらこちらの教会で練習を終えるとカテドラルに併設されたカフェでお昼を取りました。「チキンサラダを食べなさい」と言われていて素直に食すも、コールスローにローストチキンが付いたような非常に簡素なもので、毎日こんな冷たい食事ばかりで…と少々滅入っていました。朝は、牛乳を先にカップに入れてから紅茶を注ぐミルクティ(産業革命で食生活に重きを置かなかった結果できたミルクティの入れ方?)とトースト、夜もスーパーのお惣菜売り場(やっぱりコールスロー!)で買ったものを食べることが多く、もともとイギリスの食事に期待はしていなかったけれど、なんだか心寂しくなっていくのは否めませんでした。一日だけホストのおばさんたちに誘われてギリシャ料理を食べに行ったとき、食事でかくも心豊かになれるなんて、なんと人間(私!)は単純な生き物だと実感しました。
ところが日曜日。礼拝を終えてお二人と帰宅すると、さあ大変。庭にテーブルを出して、いつも使っているものとは別のちょっと贅沢な食器を並べ、イギリスの伝統料理、ロースト・ビーフやら何やらおいしそうなものが…ホストのおばさんが料理を教えているというのが、初めて理解できました。とても素敵な日曜日の過ごし方です。私はスイスに戻ってから、日曜日のお昼に使えるような繊細でかわいらしいスイス製のランチョン・マットを二人のおばさんにお送りしました。
St.Albansのカテドラル
香取智子 wrote|Date:06.10.30|
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ベルギーとうなぎのぶつ切り
ある時、ブリュージュで知り合いのオルガニストと共にベルギーの郷土料理を食べに行きました。
私はムール貝、彼女はうなぎのぶつ切り、グリーンソース煮(とでも言えばよいのでしょうか)。
バケツ一杯のムール貝!にもびっくりしましたが、うなぎのぶつ切りを初めて目の当たりにした私はさらにびっくり! うなぎの蒲焼しか知らない身には、見た目だけでも大ショック。でも、知り合いは普通に食しておりましたので(ただし、半分くらい)、日本人でも受け付けられるお味なのでしょう。
私もバケツ一杯のムール貝はさすがに手に負えませんでしたが、お味はおなじみの『貝の酒蒸し』でした。
いきなりの変な書き出しで、ベルギーのイメージが損なわれたかしらん。
ところで今、2つのベルギー美術の展覧会が開かれています。
ひとつは国立西洋美術館の『ベルギー王立美術館展』、もうひとつは秋田市立千秋美術館の『ベルギー近代の美~印象主義から表現主義、そして抽象へ~』(11月5日まで)。こちらは、ベルギー美術の個人収集家であるドイツ人、ハインリヒ・サイモン氏のサイモン・コレクションの展覧会です。
私は時間が許す限り、自分の訪れた都市の美術館を巡ることにしています。ベルギーに滞在した時も一日をブリュッセルのベルギー王立美術館で過ごしました。この美術館の膨大なコレクションを制覇する前に、まずはグラン・プラスへ足を運び、そして近くの教会に飛び込んでミサに出席。フラマン語でもミサはミサなのでさほどの違和感もなくクリア。 (ただし説教は除く)
さて準備は万端、いざ美術館へ出陣!
この美術館は古典美術館と近代美術館の2部門からできていて、これを全部巡るのは結構大変でした。
ブリューゲル、ルーベンス、ヴァン・ダイク、クノップス、アンソール、マグリット、デルヴォー…等の名画を前に、おおっ!と心は歓喜の雄たけびを上げていましたが、古典美術館だけでも足はすでに棒のよう、さすがに疲労の色は隠せませんでした。それがマグリットやデルヴォーのシュールレアリズムのセクションに足を運んだ途端、彼等のやさしく(?)、比較的ブルーが多様される画に心が癒されました。シュールレアリズムに人を癒す力があるかどうかは定かではないけれど、ホッとしたのは紛れもない事実でした。
足で知る築いたものの重さかな
でも、うなぎはやっぱり蒲焼が…
香取智子 wrote|Date:06.10.27|
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はじめまして
はじめまして、オルガン弾きの香取 智子です。
私はかつて、ワイン好きの集まり『ソムリエの会』のメンバーだったことがあります。音楽に樽やくるみの香りがあるのかどうか?は不明ですが、『謎に包まれた日常生活』の一端をちらりと垣間見せつつ、徒然なるままに書き綴っていこうと思います。
ご贔屓のほど、よろしくお願い申し上げます。
音楽のソムリエ?
香取智子 wrote|Date:06.10.27|
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