塩辛とチョコレート
私が初めてフランス語を習ったのは、ジュネーブに留学することが決まってからでした。だいたい、ジュネーブがどんな言語を使うのかなんてまったく意にも介していなかったため、留学5ヶ月前にしてアルファベ(アルファベット)から習うという体たらく。
しかし、そこは老舗の語学学校。入門コースの後、視聴覚クレディフというクラスで朝から夕方までフランス語漬けの生活を送り、だらだらと中学から勉強させられた(!)英語よりずっときちんと理解できました。
私のクラスの先生は武道を学ぶパリジャンでした。フランス映画に出てくるようなちょっとフニャフニャした(失礼!)フランス人とは一線を画す、坊主頭で眼光鋭い方でした。
彼はある時、日本語禁止の授業中に日本語を使って、初めて日本に来た時の話をしてくださったことがありました。
まず彼が一番驚いたのは“台風”。この初体験にはかなり強烈な印象をお持ちのようでした。窓に打ち付ける風雨に飼い猫も興奮状態だったそうな。
それから、ある日彼はチョコレートを買い求めようと、どこかのお店に行きました。ほとんど日本語が分からないので、「“Chocolat”(ショコラ と発音します)をください」と店員さんに頼んだそうです。店員さんは勿論、“ショコラ”が何であるか分かりません。とても親切な人だったらしく、ショコラ?…しょこら…しおから〔塩辛〕!! と瓶詰めの塩辛を持ってきたそうです。
彼にとってChocolatはChocolat。それ以外の言葉を知らないので、仕方なくその不思議な瓶詰めを買って家に帰りました。そして、恐る恐る蓋を開けてそっと口に入れたそうです。日本人だって誰もが好むわけではない塩辛ですが、彼はいっぺんで好きになったそうです。さすがは武道の心得を持つ方!!
今ごろ先生はパリの空の下、どこかで道場でも開かれているのでしょうか?
甘いシオカラ?
香取智子 wrote|Date:06.10.30|
コメント (2)
コメント
確かに「ショコラ」と「しおから」って発音が似てますね。
「ショートケーキ」と「消毒液」と同じぐらい。。。
でも、甘いチョコレートを食べたいと思ったときに塩辛を食べて気に入ったなんて…、すごいです!
ウケました~フランスに行く機会があったら、ぜひお店で「シオカラ!」と叫んでみたいと思います。何が出てくるかな。ケーキ屋ならかなりの確率で「ショコラ」が出てくるかも。どなたか私より先に試してみませんか?結果の報告はこのブログにて。