小さなコックさん
東北地方は梅雨明けもなく、立秋を過ぎました。
豪雨、地震、竜巻と自然災害が容赦なく押し寄せてくる昨今。私たちが思っているよりもずっと速い速度で、地球環境が変化しているのでしょうか?
数ヶ月前、児童書の創作、翻訳をされている八木田宣子さんから『小さなコックさん』(講談社;文学の扉)という本をいただきました。
コックさんになりたい小学5年生のシゲオ少年が、夏休みに体験した、世界中の料理の料理がなんでも食べられる、ふしぎなレストランの物語です。
そこは小学生だけのためのレストラン。背が小さくて、身の丈ほどもあるような高いコック帽をかぶり、不思議なことに素足に下駄履きのコックさんが働いています。
そのコックさんは、8月13日に子供たちのためのパーティーを開くのですが…

私の両親は、いわゆる思春期の頃、戦争を体験しています。ですから、私は戦中戦後の食糧難時代の話、疎開の話、満州での話など、こどもの頃からずっと聞かされて育ちました。
母方の祖父は職業軍人で、私が生まれたときにはすでに亡くなっていました。祖母の家に行くと、丸いメガネをかけた若い祖父の写真が飾ってあり、私はそれをいつも不思議な心持ちで眺めていました。
戦争がなければ、祖父はもっと別の生き方をしたであろうことは、母の語る記憶から容易に察しがつきました。
前線には不向きな性格で主計科の将校となり、異国の地(当時は日本の領土であった)で没した祖父の人生を思うとき、国家という存在がそこに生きる人々に対して、いかに大きな力を握っているのかを感じます。
そして、それが暴走を始めるともう誰にも止められないことを、悲しいかな、今でも私たちは現実に目にしているのです。
『小さなコックさん』は八木田宣子さんの消えることのない戦争体験への思いが、その誕生のきっかけとなったそうです。
食糧自給率が40パーセントそこそこの国で、毎日膨大な量の食糧が廃棄されていく現実。一方で、飢餓状態におかれる多くのこどもたちが存在する世界のアンバランス…
『小さなコックさん』は、今もまだ生まれ続けているのかもしれません。
間もなく64回目の8月15日がやってきます。
香取智子 wrote|Date:09.08.12|
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