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オルガニストが綴るブログ 音楽のソムリエ

音楽と言語

早いもので、もうすっかり秋になりました。黄金色に色づいた田んぼが美しいです。

先日、新潟のりゅーとぴあ(新潟市民芸術文化会館)へ行きました。
りゅーとぴあのオルガニスト、山本真希さんのお師匠さんであったクリストフ・マントゥーさんのコンサート、そしてその後のマスター・クラスに参加するためです。


荒れる海.bmp


マントゥーさんは、シャルトルの大聖堂のオルガニストを経て、パリのサン・セヴラン教会の主席オルガニスト、そしてストラスブール地方音楽院でも教鞭をとられています。

フランス人がよく使う《très sympathiqueとても、感じのよい人》で、「私はジュネーブにいました」と言い終えないうちに、「Lionelのところか?」と勢い込んで尋ね返されました。

彼は、私の師匠ととても仲がよいのだそうです。(年は親子ほども離れているのですが…)

私の師匠は25年以上も前からPCを使って作曲されていましたが、それにとても感嘆されていました。そして、e-mailをはじめてくれたオルガニストでもあったそうです。

パリのサン・セヴラン教会のオルガンは、アトリオンのオルガンと同じ、ケルンさんの工房で修復された楽器です。そのケルンさんの工房は、マントゥーさんが教鞭をとられているストラスブールにあります!

様々ななつながりが感じられて、とても懐かしい新潟行きとなりました。

新潟、万代橋.bmp
万代橋

マントゥーさんは、演奏を聴くとその演奏者がどこの国の人かが分かるとおっしゃっていました。
これは、音楽をある程度専門的にやっている人間ならば、おそらく誰もが感じていることだと思います。

その演奏の差異は、どこからくるものなのか。

それは、日常私たちが使うことば、『言語』によるものだと云います。

ヨーロッパは、口語のラテン語から派生したフランス語、イタリア語、スペイン語などと、ゲルマン語に起源を持つドイツ語、英語、オランダ語、北欧の原語など、大きく2つに分けられます。

ことばの響きからも分かるように、フランス語はなめらかな流れが特徴で、ドイツ語ははっきりとしたアクセントのある発音をします。

土と水の芸術祭.bmp
土と水の芸術祭

その違いが音楽の表現にもあらわれるということですが、たしかに、ドイツ人がフランクやフランス古典などのフランス物を弾くと、ちょっと違和感を持つことがあります。なんだか角張った音楽になるのです。洒落た軽妙なエスプリが、カントやヘーゲルになる感じ??? とでも言うのでしょうか?

反対に、《フランス人のバッハ》などということもあります。これは悪い意味ではなく、バッハという中部ドイツの作曲家が残したグローバルな作品を、フランス人がどう捉えるか、という意味です。

マントゥーさんは、「Lionelは、どんな音楽が得意?」と私に質問しました。

私の師匠は、スイス・フランス語圏に住んでいますが、血筋はスイス・アルマン(スイス・ドイツ語圏の人)です。「だから、自分はドイツの曲のほうが好きだ」とおっしゃったことがあります。たしかに、フランス人では絶対に弾かない(最近は弾く人もいますが…)といわれているレーガーもレパートリーにありましたし、リストは絶品です。私は、彼のアシスタントをして、彼のリストに惚れました!

風車 岩城町.bmp 岩城町


では、日本人の音楽って一体どんな音楽? 日本語という非常に変わった言語を話す我々は、はたしてどんな音楽を奏でているのでしょう?

この3月、東京オペラシティで演奏したときに、『日本人はフランス人?それともドイツ人?』という短いお話をしたことがあります。

これはオルガニストN.I.さんとの雑談から出てきたことですが、留学をする時にどの国を選択するかは、オルガニストにとって非常に重要な意味合いを持っています。

ラテン語圏、ゲルマン語圏では、楽器も音楽もまったく異なるのがオルガンの特徴です。我々日本人が、そのどちらを選択するかによって、自分の色合いが決まるのです。

わたしは、シューマンは好きでもベートーベンやブラームスは弾けないという人間でした。どちらかといえばフランス物に親和性が高く、ピアノ科の卒業もラヴェルでしたし、オルガンの大学院の修了演奏では、20分も以上もかかるデュリュフレの組曲をプログラムの最後に持ってきたものです。


それでもフランス語を習ったのは、留学の半年前。老舗のフランス語学校でabcから始めました。
英語やドイツ語を学んだときとは異なり、フランス語が楽しいと感じ好きになりましたが、それは語学の専門学校で習ったから、というだけではないようです。

府屋.bmp
府屋駅

こんな私がフランス古典の世界に触れ、“バッハ命”そして“フランス古典命”と言うようになったのは、偶然ではありません。やはり、フランス語に通じる《何か》がそこにはあるのです。


フランス古典を弾いていたときに師匠から「Tomoko、おまえはフランス人か!」と言われたことがあります。それから、山梨の白根でのマスター・クラスでニヴェールだったかを弾いたとき、フランス・オルガン界の重鎮、M.シャピュイ氏に「これがフランスのエスプリだよ!」と言われたこともありました。

こうなると、私はフランスが好き…にならざるを得ないような…でも、フランスのオルガン交響曲は、今回のマスター・クラスを持ってしても、やはり、あまり好きじゃないかも…うーむ

Lionelにマントゥーさんにお逢いしたと、メールしなきゃ!!

海.bmp


香取智子 wrote|Date:09.09.16|コメント (3)

コメント

香取さんの言語と音楽に関する文章を
読んでいたら、村上春樹さんのエッセイを
思い出しました。

村上さんが以前イタリアに住んでいた頃、
地元の人の運転を見て気づいたこと、
それは、他のドライバーに発する「捨て台詞」。
いやはや国によって異なるのだなあ・・・
という話だったと思います。
(ちなみにイタリアの地元ドライバーさんが
吐いた台詞は「パスタでも茹でてな!」
だったそうです。)

これが私の出身地・函館ですと、
「イカ刺しでも食ってな!」
になるのかもしれないし、
盛岡なら「パスタ」の部分が「冷麺」になって、
秋田だと、やはりきりたんぽが
登場するのかな~などと考えると、
楽しくなってきて
1人でニヤニヤしてしまう私です。
(まあ、実際に「イカ刺しでも食ってな!」
と函館で罵倒された経験は無いですが・・・)

ところで、ガブリエル・フォーレって
オルガニストだったのですね。
(今ピアノでフォーレの曲を特訓中です)
彼の作品は控えめながらも
エスプリに富んでいて素敵だなあと
思っていましたが、
あの独特な音の重なりは、
やはりオルガンに通じるものがあるのでしょうね。

フランスと相性の良い香取さん、
いつかフォーレの作品を是非聴かせてください♪


投稿者: ゆみ | 2009年09月19日 21:41

おひさしゅうございます☆
みなさま、シルバーウィークたるもの
いかがおすごしですか?
亀仙人は、オール仕事させてもらっていました☆
横手では、B級グルメの日本一をきめる大会?も
やっていたみたいですね。
亀仙人は、ビールと、厚木シロコロホルモンが食べたかったなぁ~
シロコロシロコロ~
話は、かわりますが、三枚目の写真の建物可愛くないですか☆☆これに、頭と手足をつければ
おもいっきりかめですね(嬉)
どタイプです♪

投稿者: 亀仙人 | 2009年09月23日 08:52

亀仙人さん、こんにちは♪
連休中もお仕事だったんですね。
お疲れさまです。
B1グランプリ、横手のやきそばが選ばれて、
地元の皆さんもきっと大喜びでしょう。

3枚目の写真、ほんと可愛いですね。
中はどうなってるんだろう?
入ってみたいなあ・・。

ちなみに私は4枚目の写真が好きです。
ずっと眺めていると、どこからともなく
松任谷由美さんの「カンナ8号線」が
聴こえてきそうな気がして。


投稿者: ゆみ | 2009年09月25日 21:32

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