アトリオン育ちのアウトリーチ
12月5日、大仙市立大川西根小学校主催、大仙市立教育委員会が共催する「大川西根小学校パイプオルガンコンサート」が開催されました。
今年で19回を迎えたこのコンサート、今まではアトリオンのオルガン講座を経て音楽大学でオルガンを専門に勉強されたオルガニストも含め、オルガンの専門家により行われてきました。
昨秋、大川西根小学校をお借りして会が主宰するコンサートを開いたことがきっかけとなり、今年は、オルガン講座の出身者が中心になって活動している『秋田オルガンかわら版の会』が、このコンサートをお願いされました。
出演者も、現役の高校生から大川西根小学校で教鞭を取られたことのある先生など、プロの演奏者は私以外にはひとりもいません。そして、オルガンに花を添える歌、朗読もすべてオルガン講座の受講生、修了生が担当しました。
お客様を背に緊張の本番
これは、今までアトリオンで開催されてきた100円オルガン・コンサートやワークショップで蓄積されてきたノウハウとかわら版の会が主催したコンサートのノウハウが生かされた、アトリオン発のアウトリーチと言えるかもしれません。
現在、『アウトリーチ』は、公共ホールの事業にもさかんに導入されるようになってきています。
ホール発のアウトリーチのほか、ホールがアウトリーチをうまく取り入れ、文化の活性化、地域の人々の『心』の活性化につながるよう工夫しているのです。
秋田でそのような新しい発想が見られないのは、とても残念です。アウトリーチということばを口にする人すら、私の周辺にはいませんし… たぶん知らないのでしょうね…
ミニスカ・サンタも登場
ところで、オルガンという楽器は、建物と一体となった楽器です。ですから、ポジティフと呼ばれる、ボックス型の通奏低音などのアンサンブルで使われる小型楽器以外に、移動できるものはありません。
『移動できないこと』、これがこの楽器の特性でもあり、限界だとも言えます。
リハーサル風景
私は、今までアウトリーチということばを口にこそ出さないけれど、オルガンでのアウトリーチの形を色々と試行してきました。
アトリオンでのワークショップでは、講座の受講生や『秋田オルガンかわら版の会』の会員にお手伝いしていただいたり、オルガンの100円コンサートでも、受講生、修了生に、歌や朗読などオルガン演奏以外のお手伝いをしていただきました。これはアトリオンがアウトリーチの力をお借りしたのです。
でも、ホールからのアウトリーチの困難さは常に感じていました。
今回、それは楽器というハードではなく、ハードを通して培われていたソフトが移動することで可能になるということを知りました。

リハーサル風景 慣れない打楽器を手にして
私の周りには、『移動できない』というオルガンの特性、限界をどう克服するか、ということを真剣に考えているオルガン関係者が複数いらっしゃいます。
それぞれの立場からのアプローチによって、オルガンのある場所に足を運ぶことの出来ない人々、オルガンをまだ聴いたことのない人々のもとに、オルガンの音を届けられる日が早くやってくるよう願ってやみません。
朗読のリハーサル
世の中の価値観が、一つの方向だけに向いてきているように感じられる今日この頃、人々の力の根源になるものはなんなのか、もう一度振り返ってほしいと願う音楽屋なのでした。
香取智子 wrote|Date:09.12.06|
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